業務改善勧告への対応について

当社は、当社が過去に実施した電気供給約款の変更手続き並びに当社及び当社媒介店等による営業活動に関し、2023年6月26日に経済産業省電力・ガス取引監視等委員会(以下「監視等委員会」といいます。)から業務改善勧告(以下「本勧告」といいます。)を受領しました。

本勧告を受けて、当社が行った改善措置対応について以下のとおりお知らせいたします。なお、当社は、2023年7月31日に監視等委員会に対し、不適切事象の原因及び再発防止に向けて当社が講じた措置の内容について書面にて報告いたします。

この度は、お客さまに多大なご心配及びご迷惑をおかけしたことについて、深くお詫び申し上げます。

本勧告の概要

本勧告において監視等委員会より指摘されている事象は以下のとおりです。

01

電気供給約款変更(2022年5月1日適用分及び2022年12月1日適用分)に際して当社が行った当該変更内容の説明において、需要家の理解形成という観点で一部不足があった事象(電気事業法上の説明義務に違反)

02

電気供給約款変更(2022年5月1日適用分)に際して当社が行った変更後の契約内容の書面交付に一部不足があった事象(電気事業法上の契約締結後交付書面の交付義務に違反)

03

当社の媒介店等が行っていた営業行為 に対する指示・監督が一部不足していた事象(需要家の利益の保護に支障が生じるおそれがある行為に該当)

04

当社が過去掲載していた「市場連動要素がない旨」の表示が、市場連動要素導入後も閲覧できる状態となっていた事象(需要家の利益の保護に支障が生じるおそれがある行為に該当)

※当社の電気供給サービスの営業時(おもにWEB広告)に当社以外の小売電気事業者の名称(類似するものも含みます。)を表示し、結果として需要家の誤解を招く情報提供を行っておりました。

事象発生の主な原因

当社が考える今回の発生原因は、以下のとおりです。

01
全社的なリスクマネジメント体制の不足

具体的には以下のとおりです。

・電気事業法の本旨である「需要家の理解形成を目的とする丁寧かつ分かりやすい説明義務の履行」に関する理解・意識の不足
・不適切な事象の予兆・発生を早期に発見するチェック体制の不足
02
事業運営上の法令知識及びチェック体制の不足

具体的には以下のとおりです。

・電気事業法を中心とした事業運営上必要となる法令等の内容についての周知・理解の不足
・媒介店等に対する管理監督体制の不足
03
社内ルール及びチェック体制の不足

具体的には以下のとおりです。

・当社内の業務執行体制の構築並びに当該業務執行体制及びその運用に対する社内ルールの整備の不足
・当社内の業務執行体制の構築並びに当該業務執行体制及びその運用に対するリスク管理体制の不足
主な再発防止策

当社は、上記の原因を踏まえ、以下の再発防止策を策定しております。

01
社内体制の強化・拡充

当社は、社内体制の強化・拡充を行うため、以下の措置を講じました。

1
電気事業法及び関係法令の再点検と、事業運営・業務遂行上のリスクの明確化と対策の具体化・実行を行いました。
2
組織改革や人員増強の実施により、将来にわたって法令遵守と需要家目線を両立することができる管理体制の再構築(社内ルールの整理・整備を含みます。)を行いました。
3
営業部門・業務部門・管理部門から独立したリスク・コンプライアンス部門を新設し、各部門への牽制を含む全社的なコンプライアンス体制の強化を実行しました。
4
カスタマーセンターを外部企業への業務委託先中心の運営から自社中心の運営にするため、人員を増強しております。それにより、応答率及び需要家目線での質の改善を行いました。
5
当社経営陣等による啓蒙を改めて実行し、全ての役職員の需要家目線での事業運営及び法令遵守に対する更なる意識の定着・深化を行いました。
02
媒介店等の管理・監督体制の強化

当社は、当社媒介店等の管理・監督体制を強化するため、以下の措置を講じました。

1
媒介店等が営業活動を遂行するにあたって遵守すべき事項をまとめた「稼働ルール」の見直しと改定を行い、特に媒介店等によるWEB表示について管理監督の強化を図る土台を構築しました。
2
当社が媒介店等に対して科す罰則内容を見直し、媒介店等による不適切な営業行為に対する抑止力として新たに違約罰について明示・制定しました。
3
媒介店等によるWEB表示の内容が適切であるかを確認するため、媒介店等のWEB表示の内容を審査するフローを構築しました。
4
媒介店等に対して実施している内部監査の内容を見直し、より実効力を持つ運用となるよう変更いたしました。
5
一部の媒介店等に対し、当社の従業員を常駐させることでより直接的に管理・監督できる体制を構築しました。
03
不適切な事象の発見等を含む統制上の強化

当社は、不適切な事象の予兆・発生を早期に発見できるよう、以下の措置を講じました。

1
前述したリスク・コンプライアンス室の新設付随し、今まで以上に各部門の業務執行に対する監査を厳しく行うことで、統制上の強化のための体制を構築しました。
2
業務企画部門と法務部門を同一組織とすることで、今まで以上に法令遵守を意識した事業運営・業務執行が実行されるよう体制を変更しました。
3
媒介店等が獲得した需要家に対し、媒介店等が行った説明内容を当社自ら電話にて確認することにより、媒介店等が不適切な営業行為を行っていた場合にも早期に発見、指導できる体制を構築しました。
4
前述のとおり当社カスタマーセンターを自社中心の運営とすることにより需要家の声を直接確認することで、潜在的な不適切事象を拾い上げる体制を構築しました。
5
電気供給約款の変更等、需要家に大きな影響を与える事案について、顧問弁護士を含む複数の専門家による法務チェックを義務化する社内ルールを導入し、法令上の不備・不足を未然に防止する体制を構築しました。
その他当社が講じた改善措置

当社は、上記の原因を踏まえ、以下の再発防止策を策定しております。

01
2023年4月1日適用の電気供給約款の変更時の対応について

法令遵守の電気供給約款の変更時には、需要家目線で理解いただける説明を心掛け、具体的には、変更内容(従前の燃料費調整制度を廃止し、市場価格調整制度を新設)について図表等を用いた説明を行うWEBページを当社ホームページ内に掲載したほか、当該説明について書面にて変更対象となる需要家の皆様に送付いたしました。

また、当該約款変更の効力発生後は、変更内容を踏まえた締結後交付書面を配達証明付で需要家の皆様に送付することで、受領の有無を確認できる形で交付いたしました。なお、受領の履歴が確認できない需要家に対して、当社は、電話でのフォローコールや改めて書面交付を行い、全ての需要家に該当書面が受領されるよう努めております。

02
当社からの情報提供・説明の拡充

前述した電気事業法の本旨である「需要家の理解形成を目的とする丁寧かつ分かりやすい説明義務の履行」を踏まえ、当社は、今まで以上に電力供給サービスに関する情報提供・説明の拡充を実施するため、以下の措置を講じております。

1
需要家がJEPXの市況感と当社の市場価格調整単価の金額感を容易に理解・把握できるようにすることを目的に、市場価格調整額に関する特設サイトを更新しております。

当社の電気料金には、JEPX(一般社団法人日本卸電力取引所)の一日前市場での取引価格(エリアプライス)に連動する「市場価格調整制度」が含まれているため、JEPXの市況によって当社の電気料金は変動いたします。

当社は、過去需要家の皆様よりいただいた意見を踏まえ「小売電気事業者として需要家が電気料金の金額感を事前に把握できる体制を構築すべき」と考え、以上のことから、JEPXの市況感や市場価格調整単価の金額感についての需要家の理解・把握を深めることを目的として、令和5年4月21日より「市場価格調整額の予測値」という特設サイトを当社ホームページ上に公開(毎週水曜日更新)しております。

2
当社の市場価格調整単価の開示ページの内容の拡充を実施しました。

市場価格調整単価の算出に必要となる「エリアプライス」「平均市場価格」を対象ページに追記し、各需要家が対象ページのみを確認することで市場価格調整単価を算出できるよう当社WEBページを改修しております。

例)2023年7月分市場価格調整額のお知らせ
3
当社の平均的な需要家に対する電気料金の請求金額が一定値を超えた場合に、全需要家に対して電気料金が高騰する可能性があることの警報を出す仕組みを構築しています。

上記①に追加して平均的な電力使用を行っている需要家の電気料金金額を予測し、一定値(例:前月の請求金額対比で150%等)を超過した場合に、当社ホームページ上での告知やショートメッセージを送付することで、電気料金金額が高騰するかもしれない旨を周知する仕組みを構築しています。運用開始は令和5年8月中を予定しております。

当社は、ご迷惑、ご心配をおかけしたお客さまに対し、改めて深くお詫び申し上げます。今後このような事案が発生しないよう、再発防止策を着実に実施していくとともに、その実効性や有効性を継続的に評価してまいります。