寒い季節になると重宝する暖房器具の一つがファンヒーターです。部屋をすぐにあたためてくれる速暖性から、多くの家庭で愛用されています。ただし、ファンヒーターの使用を誤ると、火災や一酸化炭素中毒の危険性も。今回は、ファンヒーターを安全に使用するための注意事項を5つご紹介します。事前に確認し、寒い季節も安心して過ごしましょう。
ファンヒーターの種類
石油ファンヒーター
石油ファンヒーターは、灯油を燃料として燃焼し、発生した熱で部屋をあたためるタイプです。短時間で強力な暖房効果を発揮しますので、部屋全体をすぐにあたためたいときに便利な暖房器具です。
しかし、定期的な灯油の補充が必要で、燃焼中は換気が欠かせません。一酸化炭素中毒のリスクや灯油のランニングコストもあるため、利用には注意が必要です。
ガスファンヒーター
都市ガスやプロパンガスを燃料として使用するファンヒーターです。石油ファンヒーターとは違い、ガスが直接供給されるため、燃料の補充は不要で給油の手間が発生しません。また、石油ファンヒーターと異なり特有の匂いはありませんが、こちらも使用中は換気が必要です。
設置場所にガス栓が必要となりますので、ガス栓の有無を確認し設置場所を考えておくことが必要です。
電気ファンヒーター(セラミックファンヒーター)
電気を使って空気をあたためるタイプのファンヒーターです。燃料補充の手間がなく、換気も不要で1番手軽に利用できるファンヒーターです。しかし、部屋全体をあたためるパワーはありません。コンパクトで持ち運びが簡単なモデルが多く、小さいスペースや足元をあたためる暖房器具として使いやすいのが特徴です。
これらのファンヒーターは、それぞれの特性や快適性が異なるため、部屋の広さや使用環境、予算などに応じて選ぶことが大切です。
ファンヒーターの注意してほしいこと5つ
注意事項1:ファンヒーターが利用できる物件か?
賃貸マンションやアパートにお住まいの方に確認していただきたいのが、暖房器具の利用に関する契約です。実は、賃貸マンションなどの一部では暖房器具の制限が設けられていることがあります。特に、石油・ガスのファンヒーター、石油ストーブは利用の制限が設けられている事例が多くあります。
石油・ガスのファンヒーターの使用や購入前に、賃貸契約書を確認しましょう。契約書に使用禁止と書かれていた場合は、使用することはできません。
契約を無視した利用は、万が一の火災の場合に保険が適用されなかったり、契約違反として退去や原状回復費の支払いを要求されたりなどの可能性があります。注意しましょう。
注意事項2:使用前の点検とメンテナンス
ファンヒーターを安全に使用するためには、シーズンが始まる前に必ず点検を行いましょう。溜まっていたホコリが燃えるなど、火災の原因となることもあります。
〈点検のポイント〉
- フィルターの掃除を行います。フィルターにホコリが溜まっていると、風量が弱くなり、暖房効率が低下します。
- 配線やコンセントに損傷やホコリがないか確認します。
- 石油やガスを利用した燃料式のファンヒーターの場合、燃料タンクやホースに漏れがないかをチェックします。
- 燃料式のファンヒーター内のカートリッジタンクの灯油を受ける油受けのフィルターにゴミや水が溜まっていないか確認します。ゴミがある場合は取り除いて、布などで拭いてください。
- 燃料式のファンヒーターの場合、タンクの中に灯油が残っていないか確認します。シーズン越しのものは使わずにガソリンスタンドなどで適切に廃棄し、安全な灯油を使いましょう。
注意事項3:室内の換気
石油やガスを使用する燃料式のファンヒーターの場合、一酸化炭素中毒の危険があります。これは、燃料が燃焼する際には酸素を消費し、一酸化炭素を発生させるためです。これが室内に溜まると、体調不良や最悪の場合命に関わる状況となります。
安全に使用するためには、室内の換気を徹底することが必要です。定期的に窓を開けて新鮮な空気を取り入れましょう。1時間に1回から2回、約1分から2分の換気が推奨されています。燃料式のファンヒーターを使用している場合は、必ず換気口を設けておくことも大切です。
注意事項4:ファンヒーターの設置場所に注意
ファンヒーターの設置場所は、安全に配慮する必要があります。設置場所を誤ると、暖房効果が低くなるだけでなく、火災ややけどのリスクもあります。特に、ファンヒーターの近くに燃えやすいものがあると、非常に危険です。
〈設置場所のポイント〉
- カーテンや布団、紙類などの可燃物から十分に遠い距離に置きましょう。
- ファンヒーターを床に直接置く場合、床材が熱を持つことがありますので、耐熱マットの上に設置することを推奨します。
- 子どもやペットが接触しない場所に設置してください。誤って接触すると、火傷や事故の危険性が高まります。
- スプレー缶やカセットボンベの近くに置かないようにしましょう。
また、設置場所を選ぶ際には、部屋全体を均等にあたためることができる場所を選ぶこともポイントです。壁際や狭い場所に設置すると、暖房効果が限られてしまいます。
注意事項5:結露の発生
冬のお悩みの1つでもある結露ですが、特に石油ストーブと石油・ガスのファンヒーターは燃焼させる際に水蒸気を発生させるため、結露が発生しやすく注意が必要です。結露がひどいと、石こうボードやフローリングが傷んだり、カビが発生しアレルギーなど健康被害を及ぼしたりとさまざまな問題を引き起こすため、賃貸物件での使用禁止の理由ともされる重大な問題です。
室内の湿った空気を入れ替えるためのこまめな換気や部屋に除湿剤を設置しておくなど、結露対策をしっかりして利用するようにしましょう。
まとめ
ファンヒーターは寒い季節に欠かせない暖房器具ですが、使用時にはさまざまなリスクが伴います。事前点検や適切な設置場所の選定、定期的なメンテナンスを行うことで、事故を防ぎ、安全に扱いましょう。特に、小さな子どもやペットがいる家庭では、火傷や事故のリスクに注意が必要です。そのため、火を使わず、表面が熱くなりにくい暖房器具を選ぶことをおすすめします。