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2024.07.10

トラッキング現象とは?電気機器による火災を対策しよう


オンライン授業やリモートワークが普及し、利用している家電が増えたご家庭も多いのではないでしょうか。家電や電気機器の配置を決める際に、コンセントの使用方法も確認が必要です。なぜなら、コンセントの使い方によって火災のリスクが高まることもあるからです。この記事では、コンセントの火災を引き起こす主な原因と、その対策について詳しく解説します。

火災の主な原因

「令和5年版 消防白書」の令和4年中の主な出火原因別の出火件数によれば、電気機器が原因による出火が1,960件で全体の5番目に多く発生しています。さらに、7位の電灯電話等の配線、8位配線器具、10位ストーブと、電気周りによる火災が多く発生していることが分かります。これらは、電気機器の使い方を誤っていたり、コンセントを正しく利用していなかったり、漏電などが原因だったりします。電気機器の火災については、前もって対策ができるものばかりですので、危険な使い方をしていないか確認してみましょう。

出典:総務省消防庁『令和5年版 消防白書』
https://www.fdma.go.jp/publication/hakusho/r5/items/r5_all.pdf

電気機器による火災を引き起こす原因

電気機器の火災の原因として、トラッキング現象とショートという現象が主に知られています。どのような場合にこれらの現象が起こるのでしょうか。

トラッキング現象

トラッキング現象とは、電気機器や配線のプラグ部分にほこりなどの汚れが溜まり、そこに湿気が帯び電流が流れてしまうことで発生する現象です。この現象により、プラグ部分が破壊され火災が発生します。例えば、トイレでは温水洗浄便座に使用するためにコンセントが用意されています。常に挿したままの状態のため、コンセントのプラグ部分にホコリが溜まりやすく、水分が散りやすい場所でもあるため湿気が多くトラッキング現象が起こりやすい場所といえるでしょう。

ショート

ショートまたは短絡(たんらく)とは、何らかの原因で電気回路として決められている本来通るべき経路を通らず、ショートカットして直接結ぶ経路ができてしまうことです。この結果、過剰な電流が流れることになり、火災や電気機器の故障などの危険が生じます。破損などさまざまな原因が考えられるため、定期的な点検やメンテナンスが必要です。

この他に、多くの電気機器を同時にコンセントに接続し、電流が過剰になり発熱してしまうことや海外の製品など適合しないプラグや電圧の違いで、過電流が流れやすくなることなどからも、火災が発生してしまう場合があります。

電気機器による火災対策

1. ホコリや汚れを掃除する

コンセントやプラグ周辺のほこりを定期的に掃除し、火花が散るリスクを減らしましょう。特に湿気が多い場所では、乾燥させることも大切です。お手入れは、定期的にコンセントからプラグを外し、乾いた布などで掃除してください。

2. タコ足配線などの利用時は負荷管理を

電気機器をタコ足配線や電源タップを使い接続する際は、各製品の消費電力を確認し、一つのコンセントに過剰な負荷をかけないようにしましょう。特に消費電力が大きい製品は、専用のコンセントを使用することが望ましいです。電子レンジや炊飯器などは消費電力が大きいため、キッチンでたくさんの家電製品を1つの電源タップでつないでるというご家庭は注意が必要です。

3. 定期的な点検と交換

長年使用しているコンセントや延長コードは定期的に点検し、亀裂や接続不良など劣化が見られた場合は早めに交換することが重要です。特にプラグやコードが熱を持つ場合は、即座に使用を中止し、新しいものに交換しましょう。もしも、火花などが発生している場合は、漏電や感電の危険が伴うため、電気工事店など専門店へ依頼してください。

4. 正しい方法で使用する

電気機器の電源が入ったまま、コンセントにプラグを挿し込んでいないでしょうか?または、コンセントのプラグがきちんと挿し込まれていないまま、電気機器を使用していないでしょうか?どちらも電気機器の使用前の確認が不足していることで、火災のリスクが生じています。使用前に、使い方によって火災のリスクがあることを十分理解し、安全を確認したうえで電気機器を使用するようにしましょう。

まとめ

家電や電気機器は配置だけでなく、コンセントの使い方にも十分注意が必要です。過負荷や劣化したコンセント、不適切な使用方法などが火災の原因となるため、適切な管理や定期的な点検など安全な使用を徹底するよう心がけましょう。

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